yashahazeのブログ

漫画の感想を書いてます。メジャーだったりマイナー作品いろいろ書きます。

明日、私は誰かのカノジョ1巻

あらすじ

顔に大きなやけどを負っており、過去親に殴られて育てられた雪。見た目そして家庭環境にコンプレックスのあるそんな彼女が週に一度誰かの”カノジョ”になる。レンタル彼女のバイトをしています。レンタル彼女を利用する人の満たされない気持ちが手に取るようにわかっていました。それもそのはずで彼女自身もまた満たされないうちの一人でした。そんな彼女の内面そして表面上の嘘を描く物語です。

作品紹介と雪の性格

作品の魅力

強烈なコンプレックスを持った少女が誰かの彼女になることでそのコンプレックスを克服すると思いきやそんなことはなくコンプレックスとの向き合い方を描いているなと思いました。

顔に大きなやけどの跡を負っておりメイクをしっかり行いその傷を隠し生活をしていました。奨学金で大学に通う「雪」は週に一度誰かの彼女になるレンタル彼女でバイトをしていました。レンタル彼女としてお客さんと接する中で何度も「好き。お店以外でも会いたい」と言われるもその言葉に満たされずにいました。雪自身がお客さんと接している際は嘘の言葉で固めており、そして見た目もやけどの跡を隠していました。言葉そして見た目も全て本当のものではないと思う彼女はどんな言葉もどんな行動も信じられずに満たされずにいました。彼女をレンタルするお客さんを通して彼女の性格やコンプレックスなどが少しずつわかっていきます。彼女の本当の思っている内面がしっかり描かれて読者的には雪の内面を知ることができ、一方登場するお客さんには嘘をついた建前しか知ることができません。そんな本音と建前を両方描いて本音をより強調するとても特徴的な作品です。

雪の性格

小学生の頃から自分の思ってもいない先生のウケのよい将来の夢を書き自分を偽って人を欺いて生きてきていました。そして寂しさを覚えていて心には黒くぽっかり空いた穴を抱えいつか埋まるだろうと思っていたものの18歳になっても埋まることはありませんでした。頭いいねと言われてもその言葉を素直に受け入れることはできず、「私を頭いい女にすることで一緒にいる自分のステータスが上がる気がするだけでしょ」と思ってしまう性格でした。一度ヒビが入ったグラスにはどんなに水を注ごうとも水がたまらないのと同じで一度壊れてしまった性格や考え方は治らずどんなに優しい言葉をかけられても雪自身の心は満たされることがないのかなと思いました。

 

お客さん「辻壮太」と「雪」の関係性

 

友達に「彼女がいると嘘を通すため」にレンタル彼女を利用したお客の1人「辻壮太」と「雪」の話しが1巻を通じて多く語られていました。辻壮太は親に大事にされて愛されて育ってきた人物で、雪と対照的と言える人物です。映画を見た後「母親を大切にできない映画なんて許せないんだ」や「どうしてこのバイトしてるの?普通はカフェとかでバイトするものじゃない?」といった無垢な質問をぶつけ、無意識に育ちのよさが出ていました。そんな発言に「育ちのよさってこうやって人を無自覚に傷つける」と心の中で思いながらもそれっぽい嘘をつきました。家庭に恵まれた辻壮太と家庭に恵まれてこなかった「雪」が正反対の境遇だからこそより一層「雪」のコンプレックスや家庭環境がどういったものだったのかを際立たせます。

人間誰しも本音と建前を使い分けます。人を傷つけないためだったり様々な理由はあれど嘘をつく生き物です。そんな本音と建前を使い分けていく様を描いているマンガで人間の本質が描かれているマンガだなと思いました。

そして承認欲求といった現代において必ず話題にあがるワードをレンタル彼女でバイトする大学生をモチーフにうまく描いています。

2巻では1巻でも登場した雪の友達にフォーカスが当たるようです。その女の子は日常的に寂しさを感じていてその寂しさを紛らわすために気軽にからだを男性にささげる女の子の様です。”可愛いと言われたい””誰でもいいからそばにいて”と思うその彼女にはどんな背景があるのか2巻も楽しみです。